CRM1阻害剤は、核外輸送の重要な仲介因子として知られる輸送因子1(Exportin 1)としても知られる染色体維持因子1(Chromosome Region Maintenance 1、CRM1)を標的とする化合物の一種である。CRM1は、核から細胞質への多数のタンパク質およびRNA分子の輸送を促進することで、核質細胞質間輸送において基本的な役割を果たしている。この輸送プロセスは、遺伝子発現、細胞周期進行、シグナル伝達、アポトーシス(細胞死)など、細胞機能の調節に不可欠である。CRM1は、輸送されるタンパク質に存在する核外輸送シグナル(NES)を認識し結合し、輸送されるタンパク質と核膜孔複合体との三者複合体を形成することで、核膜を通過することを可能にする。
CRM1を標的とする阻害剤は、CRM1タンパク質の特定の領域に結合するか、輸送される分子の結合部位を遮断することで、タンパク質およびRNA分子の輸送におけるCRM1の機能を妨害することを目的としている。CRM1を阻害することで、これらの化合物は重要なタンパク質やRNAの正常な核外輸送を妨害し、細胞の異常なプロセスや、これらの分子の正確な空間的・時間的局在に依存する経路の制御異常を引き起こす。
関連項目
製品名 | CAS # | カタログ # | 数量 | 価格 | 引用文献 | レーティング |
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KPT 330 | 1393477-72-9 | sc-489062 | 5 mg | $170.00 | ||
セリネキソールは、多発性骨髄腫やびまん性大細胞型B細胞リンパ腫など、ある種の再発・難治性がんを対象に研究されている。 | ||||||
Verdinexor | 1392136-43-4 | sc-492602 | 5 mg | $395.00 | ||
Karyopharm Therapeutics社が開発したもう一つのXPO1阻害剤で、様々な癌を対象に研究が行われている。 | ||||||
Leptomycin B | 87081-35-4 | sc-358688 sc-358688A sc-358688B | 50 µg 500 µg 2.5 mg | $105.00 $408.00 $1224.00 | 35 | |
最初に同定されたXPO1阻害剤の一つであるが、毒性プロファイルのため使用されていない。 | ||||||
KPT185 | 1333151-73-7 | sc-487916 | 10 mg | $220.00 | ||
XPO1の選択的阻害剤で、がん細胞を標的とする可能性が検討されている。 |