Shc遺伝子は、シグナル伝達経路において受容体やチロシンキナーゼの基質として働く、広く発現している3種類のタンパク質をコードしている。チロシンキナーゼ活性を持つ成長因子受容体はShcをリン酸化し、その機能を調節する。特に、Shc残基239/240と317のチロシンリン酸化は、Grb2-Sos複合体のリクルートメントを介してRas/MAPKの活性化を刺激し、ShcはGrb2と結合する。これらの残基は全てのShcアイソフォームに存在する。In vitroでは、チロシン残基239/240はチロシンキナーゼSrcによってリン酸化され、一方、インターロイキン3(IL-3)で造血細胞を刺激すると、主に残基Tyr 239とTyr 317でShcがリン酸化される。同様に、インスリンとEGFはShcのリン酸化とそれに続くShcとGrb2の結合を刺激する。Shcは、インスリン受容体に結合するIRSと競合することにより、インスリン誘導性の有糸分裂に関与している。ヒトShc遺伝子は染色体1q21.3にマップされている。
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p-Shc抗体(6E10) 参考文献:
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