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ホスファチジル-L-セリン(PS)は、生体膜、特に脳と神経系の構造と機能に極めて重要なリン脂質成分である。構造的には、グリセロール骨格に結合した2本の脂肪酸鎖からなり、グリセロールの水酸基の1つはリン酸にエステル化され、さらにセリンというアミノ酸に結合している。この構成により、膜に流動性や相挙動などの特異的な生物物理学的特性が付与され、適切な細胞機能に不可欠なものとなる。研究の文脈では、PSはアポトーシス(プログラムされた細胞死)や細胞内シグナル伝達に関連するシグナル伝達経路における役割について研究されることが多い。細胞膜の二重層の内側にPSが存在することは、細胞の完全性とシグナル伝達系を維持する上で極めて重要である。しかし、アポトーシス時には、PSは外側のリーフレットに移動し、そこで食細胞にアポトーシス細胞を取り込ませるシグナルとして機能する。科学的研究において、PSは治療目的ではなく、膜の非対称性やアポトーシスの根底にあるメカニズムを理解するためのツールとして用いられてきた。研究者は、人工膜システムやライブセルイメージングを含む様々な実験セットアップでPSを利用し、制御された条件下で細胞プロセスを追跡・操作することで、細胞シグナル伝達ネットワークの複雑な相互作用を解明している。このような研究は、より広範な生物学的・生化学的洞察に役立つ基礎的知識を提供する。
注文情報
製品名 | カタログ # | 単位 | 価格 | 数量 | お気に入り | |
Phosphatidyl-L-serine, 10 g | sc-507548 | 10 g | $45.00 |